テクニカル指標の使い方(移動平均線、Alligator)

相場に影響を与える要因として、ファンダメンタル的な要因とテクニカル的な要因があります。

ファンダメンタルは、各国の経済情勢や地政学的リスクなどの要因があります。
一方、テクニカル的な要因とは、投資家の心理が与える要因で、例えば、直近の高値や安値での攻防、安値の切り上げ・高値の切り下げなど投資家の心理が与える要因です。

テクニカル的な分析は、さまざまな方法があり、売られすぎ、買われすぎの目安、価格推移の変化などを視覚的に把握することができる手法になります。
これらのポイントを目安に売買することで、より確率の高いタイミングを把握することが可能となります。

特に短期的なトレードは、ファンダメンタルよりもテクニカル的な要素の方が強く影響します。
そのため、短期トレードを行うのであれば、テクニカル分析は必須となります。
また、中長期トレードであっても、長い時間足をベースにテクニカル分析を行うことは必要です。ファンダメンタル的な要素だけでは、相場全体に与る大きな流れはつかめても、実際に相場に参加している投資家の思惑を反映したチャートの分析までは把握できないからです。

テクニカル分析は、投資家の心理を分析することができるツールですが、すべての状況に対応できる方法はありません。その時々で、有効なテクニカル分析手法は異なります。
なので、一つの手法に固執していると適合しない状況になった時に、有効な分析ができず勝てなくなってしまいます。
すべてのテクニカル分析手法を覚える必要は、決してありませんが、いくつかの方法を知っておくことは有効だと思います。

その中から、「移動平均線(Moving Average)」、「Alligator(アリゲーター)」の特徴や使い方をご紹介します。

 

移動平均線(Moving Average)

直近の価格を平均した結果を平均した結果を1本の平均線として表示して価格の推移状況を把握する指標です。

単純移動平均(SMA:Simple Moving Average)

所定の期間の価格(通常は、終値を使用)の平均値を表す。
例えば、10日移動平均線であれば、毎日の終値で10日連続買い付けると仮定した場合、平均的な買いのコストだと想定できます。

直近の新しい価格を「加えて」、古い価格を「引く」ので、「加えた価格」と「引いた価格」の大小により、単純移動平均は増します。「新しい価格>古い価格」ならば、単純移動平均は大きくなります。

例:合計100ある場合、古い20を引いて、新しい40を加えると、120になります。


10日移動平均線が前日よりも大きくなった場合、10日前の価格よりも高い。ということで上昇トレンドの可能性が高いと判断します。

短期と長期

短期の移動平均線は、短期的な方向性(トレンド)を表し、長期の移動平均線は、長期的な方向性(トレンド)を表します。

大きな価格変動が起きた場合、短期の移動平均線はすぐに反応できるが、長期の移動平均線はすぐに反応できないため、短期と中期と長期の移動平均線を組み合わせることで、トレンドの方向性、転換を見極めることに利用できます。

指数移動平均(EMA:Exponential Moving Average)

過去の数字と直近の数字では、より現在に近い数字の方が実態に近い数字を表しているといえます。
そのため、例えば、100日前の数字と前日の数字を平等に扱うのではなく、直近の値動きを「重視」し、過去の値動きを若干「軽視」した方が、より高い予想ができます。

指数移動平均は、最近の価格に比重を置き、過去になればなるほど比重を軽くして平均値を決定します。
比重の現象度合は、「平滑化係数」と呼ばれる0と1の間の値を取る定数a(平滑定数)で決められます。

【n日間の指数平滑移動平均の求め方】

1日目=(当日を含め)n日の終値の平均

2日目以降=前日の指数平滑移動平均 + a × {当日の終値 – 前日の指数平滑移動平均}

a(平滑定数)=2 ÷ (n+1)

例えば、使用日数を3日と設定するならば、a(平滑定数)は、
2 ÷ (3 + 1)=0.5
となります。

【EMAの具体例】

終値 3日間指数平滑移動平均
2011/5/12 500  
2011/5/13 510  
2011/5/16 520 1日目 (500+510+520)÷3=510
2011/5/19 530 2日目 510+(0.5×(530-510))=520
2011/5/20 540 3日目 520+(0.5×(540-520))=530
2011/5/21 555 4日目 530+(0.5×(555-530))=542.5

 

EMAの計算式はいくつかある

EMA={(当日の終値を含むnの終値の合計)+当日の終値)}÷(n+1)

指数関数移動平均線(EMA)は新しいデータ(直近の終値)に比重を重くし古いデータ(過去の終値)の比重を小さくすることで直近の動きを反映しやすくしています。

直近のデータを重視しているのでトレンド判断に使いやすいが、その分変化が速いことに注意が必要です。

MACD(Moving Average Convergence Divergence Trading Method:移動平均収束拡散手法)もこのEMAを使用しており、MACDを使用するならEMAを使う方が便利だと思います。
MACDは、EMAの短期線と長期線の差を利用してトレンド転換を把握する用途で利用します。

平滑移動平均(SMMA:Smoothed Moving Average)

EMAを改良した移動平均線です。

SMMA={(n-1)×前期間のSMMA+当日の終値}÷ n

線形加重移動平均(LWMA:Linear Weighted Moving Average)=WMA

{(n×当日の終値)+{(n-1)×前日の終値}+{(n-2)×前々日の終値}・・・
+{2×(n-2)前の終値}+1×(n-1)日前の終値}÷{n+(n-1)+(n-2)・・・2+1}

加重移動平均は、「現在に近い値の方が重要」という考えの元、単純に平均するのではなく新しい値に加重をかけて平均計算します。

EMAは、直近の価格を重視、過去の価格を軽視して平均化されていますが、WMAは、直近の価格を重視し、過去の価格は徐々に減らしているものです。

【EMAの重み付けのイメージ(N=15 )】

【WMAの重み付けのイメージ(N=15)】

※グラフの画像は、Wikipediaより引用

3つの移動平均線の概念図

3つの移動平均線の特徴

滑らかさ

WMA<EMA<SMA

線は、滑らかなほど大きな上昇・下降トレンドの判断ができ、シグナルの信頼性も高まります。

直近の値動きへの反応

SMA<WMA<EMA

EMAは、振れ幅が少なく、直近の値動きに早く反応するため、トレンド転換点を見る上では優位性があります。

値動きへの追従

SMA<EMA<WMA

WMAは、緩やかなトレンドを形成している相場では、最も価格に追従して推移します。

価格に合わせてきれいにWMAが追従していれば、トレンドが形成されているとの見方ができます。

SMA
  • 長期的なトレンドの方向性を見るのに有効的
  • 直近の値動きによる売買サインが遅れがち
EMA
  • SMAよりも直近の値動きに早く反応
  • 大きな変動の時やレンジ相場の時は、ダマシが多い
WMA
  • 直近の値動きを重視していて、過去の値動きを軽視している
  • 緩やかな上昇・下降局面に有効的
  • 大きな変動の時やレンジ相場の時は、ダマシが多い
  • 相場が大きく乱高下して変動している時や、横ばいに動いている時は、変動幅が大きいWMAはSMAやEMAよりもダマシが大きくなりがち
    早い段階で売買サインを知ることができるが、このような相場においては、価格に追従する性質はデメリットになる

 

参考:移動平均線の種類が多数あるけど・・・

移動平均線の種類がこんなにもたくさんあるのかというと、基本となる単純移動平均線の直近の値に対する反応が弱くて、そのサインを待っていると遅すぎるという問題があったから、それを克服しようとして、色々な移動平均線ができました。

他にも、以下のような移動平均線がありますが、基本投資を行う上では無視してかまいません。

  • ダブル指数移動平均線(DEMA:Double Exponetial Moving Average)
  • 三重指数移動平均線(TEMA:Triple Exponential Moving Average)
  • トリプル指数移動平均線(T3:Triple Exponential Moving Average)
  • 三角移動平均線(TRIMA:Triangular Moving Average)
  • ハル移動平均線(HMA:Hull Moving Average)
  • カウフマン適応移動平均線(KAMA:Kaufman Adaptive Moving Average)

 

Alligator(アリゲーター)

移動平均線を応用したテクニカル手法になります。

Alligatorは、長期、中期、短期の3本の平滑移動平均線を現在の位置よりも右側(将来)へずらして表示したものです。

【各平滑移動平均線の計算本数】

  • 長期・・・13
  • 中期・・・8
  • 短期・・・5

【各平滑移動平均線のずらし数】

  • 長期・・・8
  • 中期・・・5
  • 短期・・・3

Alligatorは、名前のとおり「ワニ」を意味しており、それぞれ次のイメージとなっています。
それぞれの動きをワニの口の開き具合になぞらえています。

長期の平滑移動平均線は、Jaws Period(ワニの顎)
中期の平滑移動平均線は、Teeth Period(ワニの歯)
短期の平滑移動平均線は、Lips Period(ワニの唇)

パラメーターと活用方法

平滑移動平均線 先行表示 ワニの部位
短期(Lips)5 3
中期(Teeth)8 5
長期(Jaws)13 8

 

ラインが重なっているところ ⇒ ワニが眠っている(Sleeping)ラインの収束
ラインが離れているところ ⇒ ワニが口を開いて捕食している(Hunting)

3本の平滑移動平均線の収束と拡張を繰り返す様をワニの捕食に例えています。

売買のタイミングとしては、口の開き始めでエントリーをして、口を閉じて再び眠りに入るところでエグジットするのが目安となります。

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