経営分析をして企業の状態を定量的に把握する方法

企業に対して長期的に投資していくためには、その企業の経営状態がどんな状態になっているか把握する必要があります。

業績が右肩下がりで将来が不安視されるような企業には、長期的に投資してもリターンは、見込めないですよね。
株式投資をしている人の中には、投資をしてから、値下がりしたままずっと塩漬けになっている人もいるかと思いますが、その投資を実行した時にどのように分析して、決定しましたか。

企業の経営状態を見ることができれば、少なくとも現状問題が山積しているような企業を見分けることができるようになります。

まずは、企業の経営分析の基本的な知識をご紹介していきたいと思います。

 

経営分析の基礎

支払能力がわかる「流動比率」

流動資産 ÷ 流動負債
流動資産とは、主に1年以内に現金化できる資産のことです。もちろん、現金なども含まれます。
流動負債とは、主に1年以内に返済する負債のことです。
流動比率を見ることで、すぐに使えるキャッシュがどの程度あるのかを把握する目安となります。
特に、現金決済を必要とするような業種については、流動比率を高める必要があります。

資金力がわかる「自己資本比率」

自己資本 ÷ 総資産
自己資本の割合が大きいことは、経営する上で資金的な体力が高いことを示しています。
自己資本は、返済の義務がないため、利息の支払がなく経営への負担がない資本になります。
自己資本比率が高いということは、借り入れが少ないことを意味しますので、経営が健全であるといえます。

効率性がわかる「総資産回転率」

売上 ÷ 総資産
資産をどれだけ有効に使って利益を上げているかが分かります。
今ある資産を何度も繰り返し使って、利益を上げているならば、1回当たりの売上を上げるために費用は少なくなります。
逆に売上を上げるために、その都度資産を買う必要があると1回当たりの費用が高くなってしまい非効率になってしまいます。(資産が有効活用されていない状態です)

商品の収益力がわかる「売上高総利益率」

粗利 ÷ 売上
売上に占める粗利の割合を見ることで、その商品(サービス)で稼いでいるかが分かります。
原価が高く利益率が低い商品だと粗利(分子)の割合が少なくなります。

本業の収益力がわかる「売上高営業利益率」

営業利益 ÷ 売上
営業利益は、粗利から販売費及び一般管理費を引いたもので本業(売上)から、かかった費用を差し引いた利益になります。

採算性がわかる「損益分岐点」

固定費 ÷ (1ー変動費率)
損益分岐点は、名前のとおり、損と利益が分かれる売上高がいくらになるのかを把握することができます。
ブレイクイーブンポイントとも言います。

人件費がわかる「労働分配率」

人件費 ÷ 粗利
利益に対する人件費の割合を見ることで、どの程度人的リソースが利益を生み出しているか見ることができます。
人件費の割合が高ければ、非効率な働き方になっていたり、そもそも、人が多い可能性があります。

レバレッジの効かせ方がわかる「財務レバレッジ」

総資本 ÷ 自己資本
負債を使って本来の資本以上の経営をどの程度行っているか見ることができます。
レバレッジが高いということは、それだけ負債が多いか自己資本が少ないことになりますので、財務健全性の意味においては、リスクがある可能性があります。

 

経営分析の中級

当座比率

当座資産 ÷ 流動負債

当座資産とは、現預金+受取手形+売掛金+売却可能有価証券(棚卸資産、繰延税金資産、その他流動資産を含まない)
100%を超えて、150%位あると安全といえます。
時価で変動する在庫などの棚卸し資産を除くことで、真の支払能力が分かります。
英語では、「Acid test raito(酸性試験比率)」、「Quick assets ratio」

手元流動性比率

手元流動性比率とは、(現預金+短期有価証券) ÷ 月商
現預金月商比率とも言います。

固定長期適合率

固定長期適合率とは、固定資産 ÷ (固定負債+自己資本)
固定資産に投資した資金が長期的な資金でどれだけまかなわれているかを測ることができます。
固定資産は、長期間使用されるため、長期の借り入れや、そもそも返済義務のない自己資本の範囲内で投資が行われないと返済に苦しむことになる可能性があります。
固定資産の金額が自己資本と固定負債の合計額を上回らない状態、つまり、固定長期適合率が100%以下となっていることが理想で、できれば、50%〜80%程度であるとなお良い状態です。

固定比率

固定比率は、固定資産 ÷ 自己資本
固定資産に投資した資金が返済義務のない自己資本でどれだけまかなわれているかを測ります。

 

 

経営分析の応用

有利子負債月商比率

有利子負債月商比率とは、(短期借入金+長期借入金+社債) ÷ 月商
ある時点(通常は、決算日)において、会社が月商の何か月分の有利子負債(主に銀行借入)を抱えているかを示します。

有利子負債が月商の3か月以内であれば、毎月の借入金の返済負担はそれほどではないが、月商の3か月を超え6か月くらいになってくると、借入金の返済が資金繰り的に困難になり始めてしまいます。

売上債権回転期間

売上債権回転期間とは、売掛金+受取手形 ÷ 日商
顧客が消費者で現金売上がほとんどである飲食店や小売業は、相対的に低くそれぞれ20日以下が平均です。
卸売業、製造業のように売上のほとんどが対企業であり、なおかつ手形決済がよく行われる業種、業界ほど売上債権回転期間は長くなります。
一般的には、60日〜80日くらいです。

在庫回転期間

在庫回転期間とは、棚卸資産 ÷ (売上原価 ÷ 12 もしくは 365)
商品を仕入れてどのくらいの月数または、日数で販売できているかを見る指標です。
期間が短ければ短いほど商品を仕入れてから在庫となっている期間が短く、よく売れていることになります。
在庫回転期間は、商品の種類別に見ることにより、売れ筋商品、死に筋商品を判別します。
分子に売上高を使う方法と売上原価を使う方法があります。

インタレスト・カバレッジ・レシオ

インタレスト・カバレッジレシオとは、営業利益 ÷ 支払い利息
(営業利益+受取利息+受取配当金) ÷ (支払い利息+手形割引料)
インタレスト・カバレッジ・レシオは、10倍以上が理想で、1倍以下の会計期間が数期続くと銀行から追加で借り入れをすることが困難になります。
2〜3倍が標準で、20倍以上あるとかなり優良です。

配当性向

配当性向とは、配当金 ÷ 当期純利益
当期純利益のうち、企業がどの程度の利益を株主に利益還元(配当金として分配)しているのかを示す指標です。

総資本経常利益率(ROA)

総資本経常利益率とは、経常利益 ÷ 総資産
総資産を活用してどのくらい経常利益を生み出せているかを示す指標です。

固定資産回転率

固定資産回転率とは、売上 ÷ 固定資産
固定資産を活用してどのくらい売上を上げているかを示す指標です。
数字が大きい(回転が多い)と効率的に固定資産を使用できていることになります。

労働生産性

労働生産性とは、粗利 ÷ 従業員数
従業員一人あたりがどのくらい粗利を上げているか示す指標です。
従業員がどのくらい付加価値を生産できているか見ることができますので、指標が低い場合は、従業員の働き方に無駄がないか確認して見る必要があるかもしれません。

売上伸び率

売上伸び率とは、(当期売上ー前期売上) ÷ 前期売上
前期からどのくらい売上が伸びているか比率を示す指標です。

経常利益伸び率

経常利益伸び率とは、(当期経常利益ー前期経常利益) ÷ 前期経常利益
前期から経常利益がどのくらい伸びているか比率を示す指標です。

売上高研究開発比率

売上高研究開発比率とは、研究開発費 ÷ 売上高
売上高からどのくらい研究開発費を使用しているかを表す指標です。
将来、継続的な成長をしていくためには、研究開発が欠かせませんので、この指標が低いと将来への準備が不足している可能性があります。

 

自己資本、株主資本、純資産の違い

種類 定義 説明
自己資本① 自己資本=株主資本 従来の取得原価主義に基づく基本概念に近く、会社法施行以前の財務データを時系列で分析する場合は、この定義が適している
自己資本② 自己資本=株主資本+評価・換算差額等 新株予約権は、権利行使の有無が確定するまでは、その正確が確定しない項目なので、これを株主にとっての自己資本とは考えがたい。
金融庁や東京証券取引所は、この自己資本概念を採用している。
自己資本③ 自己資本=純資産 国際会計基準では、新株予約権も少数株主持分も資本の部に計上することになっているので海外企業との比較分析を行う場合は、この定義が適しています。

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